移動平均線と200MA|相場の大きな流れを1本の線で見る
移動平均線は過去の終値を平均してノイズを消した線です。200MAが基準として使われるのは数字に意味があるからではなく、多くの参加者が同じ線を見ているから。傾きと価格の位置という2つの見方を図で解説します。
前回は、高値と安値の並び方でトレンドを判定する方法を扱いました。ただ実際のチャートは細かく上下していて、点を追うだけでは「どのくらい大きな流れの中にいるのか」がつかみにくいことがあります。
そこで使うのが移動平均線です。
平均をとると、流れだけが残る
移動平均線は、過去N本の終値を平均して結んだ線です。5本の平均なら5MA、200本なら200MAと呼びます。
平均する本数が多いほど線は滑らかになり、動きは鈍くなります。滑らかさと反応の速さは必ずトレードオフで、どちらも得られる期間設定は存在しません。
期間が変われば、別の指標になる
20MAと200MAは同じ指標の設定違いではなく、答える問いが違います。20MAは「ここ数週間どちらに動いたか」、200MAは「相場全体がどちらを向いているか」です。
単純平均(SMA)のほかに、直近の価格を重く扱う**指数平滑平均(EMA)**もあります。EMAのほうが速く反応しますが、その分ダマシも増えます。どちらが優れているということはありません。
200が特別なのは、数字のせいではない
200MAが基準として扱われる理由は、計算式が優れているからではありません。多くの参加者が同じ線を見ているからです。
200という数字自体に根拠はありません。機関投資家のレポートや報道が長年この期間を使ってきた結果、注文が集まる座標になった、という経緯です。逆に言えば、誰も見ていない187MAに同じ働きはありません。
なお、移動平均を使った売買ルールが実際に超過収益を生むかは、検証結果が一致していません。「効くと信じられている」ことと「統計的に有効」であることは別です。
なお日足の200MAは、為替ならおよそ10か月分の平均です(年間の営業日は260日前後なので、200本で1年には届きません)。
傾きと位置で環境が決まる
使い方は複雑ではありません。線の傾きと、価格が線の上か下か。この2つの組み合わせです。
2つが同じ方向を向いているときが、最も読みやすい状態です。食い違っているときは、トレンド途中の調整なのか転換の入口なのか、まだ決まっていません。線が横ばいのときは、そもそも判断材料になりません。
線の近くで価格が反応する
上向きの線まで価格が下げてくると、その付近で反発することがよくあります。
前回のトレンド判定と組み合わせると、高値・安値の関係で向きを確認し、200MAで反応しやすい価格帯を見る、という役割分担になります。
線を増やしても精度は上がらない
移動平均線に慣れると、5本10本と足したくなります。しかしどれも同じ終値から作った線なので、新しい情報は増えません。増えるのは、都合のいい線を後から選べる余地だけです。
短期線が長期線を上抜ける「ゴールデンクロス」も同様です。平均の交差は定義上、価格が動いたあとにしか起こりません。横ばい相場では上下の交差を繰り返し、そのたびに損失を出します。
200MAは200本分の平均なので、反応は必ず遅れます。天井や底を当てる道具ではありません。また、日足の200MAと4時間足の200MAはまったく別の線です。見る時間軸を先に決めないと、上向きと下向きが同時に成立します。
線は、相場を予測するためのものではなく、いま自分がどのあたりにいるかを確認するためのものです。この使い方をはみ出さない限り、200MAは扱いやすい道具です。